フロッピーディスクの加熱テスト

 フロッピーディスクの物理的障害の主なものは、@磁気フィルム上のリング状のキズ、A中心金具(HUB)と磁気フィルムの接着部の剥離またはズレ、の2種類にわけることができる。

 @のキズについては今回言及しません。
 Aは、昔はホトンド剥離であったが、最近はズレが多くなったという印象がある。冷静に振り返ってみると、ズレは昔からあったが、その割合が増えてきたと思える。

 剥離とズレは使用される接着剤の違いによるもので、昔の接着剤はエポキシ系のガラス質に硬化するタイプが多く、固まってしまうと軟化することはなく、経年変化などで劣化すると落下などの衝撃で接着面が割れて接着部が一気に剥離するものと考えられる。

 これに対し、最近の接着剤はポリエステル系ホットメルト接着剤で、加熱すると液状になり冷却すると元の固体に戻る性質があり、屋根裏部屋においたり、工作機械のそばとか毎日寒暖を繰り返す場所に置くと、固まったり溶けたりが繰り返されるうちに劣化して、常温での保持力が弱くなって、ドライブに掛けたときにズレが発生するものと考えられる。

 筆者は長年のFD修復の経験を通して、ズレはあるメーカのFDに特徴的に起こるものと確信していたが、今回それとは別のメーカのFDでズレが起きている発見をして、急遽手近にあった6社のFDで加熱テストしてみた。
 その結果、驚いたことに全てのメーカがホットメルト接着剤を用いていた。

 今回は加熱実験だけで、劣化の実験はしていないし、1枚当たりの接着剤の使用量もメーカによって異なるようなので、全て危険とまではいえないが、FDの使用を控えたくなる結果である。

 加熱実験の模様の動画をYOU TUBEにアップしたので見てください。
http://www.youtube.com/user/mugeek

 後日長年保存していたFDを分解廃棄した時の動画も1つ入れてあります。「FD分解(FD dsjointing)」
この時はカッターで殻を割って、ドンドン中身を取り出していますが、磁気円盤とHUBが加熱なしでドンドンはがれていってますね。
FDの空回り、キズはないのに全く読めないエラーは、中心金具(ハブ)と磁気円盤の接着部のズレによるものです。これを正しく診断できる業者さんはめったにいません。たいていは磁石を近づけたのでしょうなどと見当はずれのことを言っていますね。このような場合のデータ救出は経験豊富な福澤商店におまかせください。
|福澤商店のTOPへ|  FD救出案内へ 2009/6/4