FD修復ツールのご紹介 
[私自身]
 
福澤浩次:長野県飯田市出身。80年代から東京の事務機商社(株)日本字研社でOA機器の営業をする傍ら、富士通御用達のフロッピィ修復技術者として、OASYSの文書フロッピーを直しつづけること10余年。同時に愛好者の間では、「楽しいオアシスメイト研究1−4号」の編集責任者として少し知られました。
 時代が下って、1998年秋、独立して新宿副都心にパソコンサービス会社「メゾネットデータサルベージ・福澤商店」を開店。事務所は2012年秋に渋谷区本町に移転し、現在に至っています。業務内容はフロッピー、メモリー修復、HDD/NASのデータ復旧をメインに、パーソナルワープロ中古機の販売・修理、ソフト受託、ネットワーク敷設等を付随業務としては営業しています。
 以下はフロッピーに限定した記述です。MO/HDD/NAS等に関しては別のページでご紹介しています。


[FD修復技術開発の経緯]
 
弊社の修復技術はまったくユニークなもので、きわめて高い修復実績を誇り、緊急のニーズに役立っております。以下にこの世界に踏み込んでいった経緯を記しておきます。
 当時、富士通のOASYS販売の傍ら、WPを使って文書作成サービスをやっていたので、文書フロッピーが時々壊れたのですが、そんな時、用意されている補助メニューの「フロッピー文書修復」がオバカというか融通が利かないというか、OASYS文書フロッピーとしての識別ができないと、「フロッピーが不正です。交換してください」と頑として修復拒絶をするので、ある時試しに、正常なFDから第1トラックを複写してみたら、それだけで完全に直ってしまったのです。OASYS文書FDの第1トラックは識別情報だけだったのですね。これが最初の修復実績でした。
 その後、ギッシリ詰まっているはずの文書のリストが消えてしまうエラーとか、「くくくっくっくっくーくるしー誓誓誓誓;;;;」などと文字化けしてしまうエラーとか、大事な文書を削除してしまったとか、補助メニューに用意されている「フロッピー文書修復」に見放されるさまざまな事態に直面して、ソフトを探したり、それらを克服するノウハウを蓄積し、いつしかFD修復を商売にするようになっていたのてした。そうなるとワープロメーカやFDメーカからもお声がかるようになり、必然的に守備範囲がルポ・書院その他各社のワープロや、DOSやMac等のパソコンからNC工作機にまで広がり、媒体も時代の発展にあわせてHDDやMO等の大容量メディアに及び、実践によるOJTを積み重ねて今日にいたりました。今保存されている当時のカルテは年間約百数十件分が10年以上に及びます。
 初期の修復技術には以下に挙げる2社の不朽の名作ソフトの貢献が極めて大きかったので、感謝の気持ちをこめてご紹介しておきます。

[FD修復の二大ツール]
 その1つは、
ウエストサイドのMagic Copy V1.6です。NECのPC9801シリーズ全盛の時代、当時パソコンマニアは皆如何にゲームやアプリなどをコピーするかに熱中していたので、様々なコピーツールが登場し、フロッピーの解説書も現われました。Magic Copyは殆どのワープロフロッピーの複写が取れるので使い始めたのですが、単に複写の能力だけなら「アインシュタインVX」の方が強力だったような記憶がありますし、他にベビーメーカーやWizardも有名でした。当時仕事仲間からもらったFDには、FANTOM, MICHTY, DrCopy, SHARK, File Masterなんてものが一括して納めてありましたが、小生は、Magic Copyで間に合ってしまったので、これらは使ってもみませんでしたね。Magic Copyを使いつづける理由は、MS-DOSやN88BASICなどのファイルシステムに限定されず、任意のトラック単位で複写がとれ、複写状況のマップが静止していて見やすいこと。(故障部分をあまり細かくみていては時間ばかりかかって仕事になりません。トラック単位ぐらいが最適です。)さらにこのソフトが必需品になったのは、社内の本棚に並んでいたオタク雑誌・技術評論社の「The BASIC」(ザベ)のかなり初期のバックナンバーの記事中にこのソフトの詳しい使い方を偶然見つけてからでした。ついでに言えば、このソフトの真骨頂は軽いフォーマットエラーなら、黙っていてもプロテクト外しの要領で、正しい値に直してコピーしてくれる点。さらに幸運な場合はコピー後、壊れていた筈の原本方も直っている場合さえあります。難点はプロテクト外しが前提で、どんなフォーマットにも対応しようとするあまり、MS-DOSとかRUPOとか限定したツールに比べて、セクター単位のエラーに弱いこと。すなわち、1セクターのエラーでもそのトラックのセクター全部をエラーにしてしまう傾向がありました。

 もう1つのソフトは、小生の故郷に近い信州・伊那市に本拠を置く
アンテナハウスのOASYS File Manager V2.0。こちらではOASYSの文書フロッピーの空き領域から文字データを切り出したり、削除文書を復活させたりすることができます。OASYS100FのMS-DOS上で動くバージョン「トランセ」を見たのが最初の出会いでした。このソフトは一面ではOASYS文書とMS-DOS FILEとのデータ変換ソフトとしての機能があり、こちらは同社のその他の変換ソフト群とともにドル箱ユーティリティ・Rich Text Converterの源流をなすことになるのでありますが、一方「空き領域からの文字データの切り出し」などは、使い方を理解したユーザーが何人いたか疑問なほどです。操作法が難解だったのか、そもそもお呼びでなかったのか、幸か不幸か世間からは忘れ去られることになりました。

 以上の2つが初期の主要ソフトです。その後守備範囲を他社ワープロやパソコン・データに広げていく過程では、もちろん
ノートンユーティリティーは標準的なツールとして使用経験を積んできました。パソコンの主流がNECの98からDOS/Vに移行してからは、1.44MBフロッピーの複写ツールとして、Logitecの外付け3.5"FDDと複写ユーティリティーのDSKCPY.EXEは、複写元に不良セクターがあっても無視してコピーが続けられるので3番目の必須アイテムになりました。

 以上の他に情報源として挙げておきたいのは、富士通刊「オアシス文書形式解説書」のマップ図。ここにOASYS LITEから30シリーズ、100,100F,100F2,100R,FM-OASYS,300Aなどの機種別の文書フロッピィにおけるINDEX領域と蓄積データ領域の位置が図示されています。これのおかげで、それ以前に比べ修復結果が格段に上がりました。ただしこの解説書は富士通社内や関連業者のためのもので、市販はされていません。
 その他、日本文芸社刊「プロテクトの外し方初歩の初歩」北山忍著ではBit単位の分析法を学習でき、PCのフォーラムのデータライブラリー中にも
RUPOCOPYなど修復に役立つフリーソフトを見付けました。

[FD修復作業工程]
 一般的な修復の流れは、OASYSの場合、まずMagic Copyで全セクタの複写をとり、不良個所を見つけ、そこを正しいフォーマットデータでパッチし、OASYS File Managerで空き領域から文書を取り出します。仕上げにノイズクリーナとして、OASYS本来の補助メニュー「文書修復」で修復コピーをかければ万全です。
 OASYS File Managerみたいな便利なソフトのないその他のワープロ専用FDでは、正常な空白文書を作って、そのりスト部と不良FDの蓄積データ部を対応させて、読み出す技法などを使います。また書院やリコーなどMS-DOSファイル形式を利用しているFDやパソコン用FDでは、次にあげるNorton Disk Doctorも活躍します。
 Windowsのフロッピーでは、DSKCPY.EXEで全体コピーしたものをNorton Disk Doctor(NDD)にかけます。これでファイルが復活すれば、アプリにファイル名や拡張子を適合させて読み出します。セクタ単位のバックアップとパッチには
論理ディスク アクセスツール(DDisk)、FD全体のバックアップはRWFD.EXEを常用していますし、この段階でまだ開かないExcelやWordの不良ファイルに対しては、Microsoft社の推奨修復手順やOntrackのEasyRecovery ProfessionalのOffice File Repairなども非常に効果的です。

 職業としてFD修復を行っていくには、不良個所のパッチ用にメーカー別、機種別に正しい文書FDを豊富に持つ必要があります。これは一朝一夕にはできないことですが、ご自分のFDを自分で直したい方には以上小生の手法が多少でも参考になれば幸いです。なお、機種別の技術解説は関連の機種別の事例紹介をごらんください

 
Magic Copy VM


OASYS File Manager V2.0
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