Raw Recovery 2例
   

Raw Recovery:ファイルシステムの再構成が不可能な場合に、メディア上の全セクターをスキャンして、ファイルの特徴を手がかりに直接データを取り出すこと。断片化していないファイルが救出できる。ここで使用しているソフトはOntrack社のEasyRecovery Professional。ちなみにRaw fishはお刺身のこと。

―例1―
2HD/1.25MBのMS-DOSフロッピー・ディスク

症状:古いFDを開こうとしたら、エラー表示が出て開かない。一太郎V4.3文書とテキストが合計10ファイル位入っている(筈)とのこと。

作業:

@まず、原本を1.25MBにフォーマットしたFDにスキップコピーしながら、不良個所を調査する。(作成されたコピーFDを@FDと呼ぶ。)
  読取不良個所は下記:
  セクター0〜7, 20, 36, 52, 67, 68
  トラックでは0面の00から04が全部または一部不良。
ANDDにかける。
下のような表示で続行不能。


この時点でFDを開くとルートディレクトリは出たらめなものになっている。
BダミーFDを作成:
別FDを1.25MBにフォーマットして1ファイルでFDがいっぱいになる空白文書をHDから複写する。ファイル名は仮にRAW.TXTとする。
CダミーFDの00-0トラックを@FDにパッチする。
DパッチされたFD(DFD)のRAW.TXTをエディターで開くと、binary文字に挟まれて、読み取れるテキスト部分が見える。これが元Textファイルだった部分。まずこれを救出する。4ファイル救出。
E救出ソフトが1.25MBフォーマットを理解しないため、DFDのRAW.TXTを1.44MBのFDに複写する。(EFD)
FEFDをEasyRecovery ProfessionalのRawRecoveryに掛ける。
G15個位のJXWファイルが切り出され、その内の5,6個が一太郎で開くものであった。

念のために補足すると、テキストファイルのデータはファイル開始の合図がないので、RawRecoveryソフトには適さない。


―例2―

40GB IDEハードディスク/Macintosh HFS+フォーマット

症状:フリーズして再起動したところOSを認識しないので、システムCD-ROMより起動して、OSを再インストール。古いデータが全てなくなってしまった。

作業および注釈:
@DATA RESCUEでフル・スキャンしても、再インストールしたファイル以外見つからない。
古い分のカタログツリーが消滅しているものと判断。
AこのHDをWindowsマシンに直接繋いで、EasyRecovery ProfessionalのRawRecoveryを試す。
すると、何と40GB近いデータが発見されてしまった。JPEG, GIF, HTMLなどがそれぞれ10万ファイル(この数がこのソフトの限界か?)、その他XLS, PPT, DOCなど50種あり。このソフト自身は200種のファイルタイプを識別する。WindowsファイルとしてWindowsのHDに救出後、MacDrive5で別のHDを接続してMacに移す。Win/Mac共通のものは概ね問題なかったが、Mac特有のファイルがどうだったかは未検証。
BHTMLファイルを開くと、JPEGやGIFなどの図が抜けている。Raw Recoveryでは元のファイル名が失われ、新たに便宜的な名前がつき、それぞれのファイルタイプ別フォルダに納められる結果、リンクが切れてしまうわけである。
CMOFフォルダの中に欠陥のあるMicrosoft Office Fileが保存されているので、ファイル修復すれば使えるものもある。エクセルでそのまま開くものもあった。開くもので1ページなのに数MBのファイルサイズを示すものがあり、保存し直したら本来のサイズに戻った。
D元のディスクに復元しない救出ソフト(このソフトなど)では、原本をいきなり救出にかけてもよさそうに思われるが、不良セクターがある場合は読取に時間がかかり、フリーズしたり、画面が切れたりすることもあるのでDSTでイメージコピーを作ってから行うとよい。また1つのHDを2つ以上のHDに分けてコピーすれば、10万の限界も超えて救出できる。
E救出結果ファイル数が多いとディレクトリの検索に時間がかかり、フリーズしているのでは?と思うことがある。実際10万ファイル入りフォルダを開くだけで2時間くらいかかった。40GBをRawRecoveryするのには一晩放っておくくらいの感覚が適当。
Fこの方法はMacintsho MOにも適用できる。
GWindowsのファイルチェックでxxxx.chkとか、NDDでxxxx._ddとかの属性不明のファイルがたくさん作られた場合にもRawRecoveryで拡張子別に分類できる。 (03/04/24加筆)


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